
知的障害や自閉スペクトラム症がある児童生徒の場合の道徳
特別支援学校学習指導要領では、「特別の教科 道徳」について以下のような記載があります。
小学部又は中学部の道徳科の目標,内容及び指導計画の作成と内容の取扱いについては,それぞれ小学校学習指導要領第3章又は中学校学習指導要領第3章に示すものに準ずるほか,次に示すところによるものとする。
1 児童又は生徒の障害による学習上又は生活上の困難を改善・克服して,強く生きようとする意欲を高め,明るい生活態度を養うとともに,健全な人生観の育成を図る必要があること。
2 各教科,外国語活動,総合的な学習の時間,特別活動及び自立活動との関連を密にしながら,経験の拡充を図り,豊かな道徳的心情を育て,広い視野に立って道徳的判断や行動ができるように指導する必要があること。
3 知的障害者である児童又は生徒に対する教育を行う特別支援学校において,内容の指導に当たっては,個々の児童又は生徒の知的障害の状態,生活年齢,学習状況及び経験等に応じて,適切に指導の重点を定め,指導内容を具体化し,体験的な活動を取り入れるなどの工夫を行うこと。
特別支援学校幼稚部教育要領 小学部・中学部学習指導要領
この中で、特に難しいのは「3」で、知的障害の状態が多様な中で、集団での道徳の授業を考えるのは簡単ではありません。
学習グループ内で扱いたい内容項目の段階が異なる
道徳の内容項目は以下の4つに分類されます。
- 善悪の判断、自律、自由と責任
- 正直、誠実
- 節度、節制
- 個性の伸長
- 希望と勇気、努力と強い意志
- 真理の探究
- 親切、思いやり
- 感謝
- 礼儀
- 友情、信頼
- 相互理解、寛容
- 規則の尊重
- 公正、公平、社会正義
- 勤労、公共の精神
- 家族愛、家庭生活の充実
- よりよい学校生活、集団生活の充実
- 伝統と文化の尊重、国や強度を愛する態度
- 生命の尊さ
- 自然愛護
- 感動、畏敬の念
- よりよく生きる喜び
加えて、以下の4つの段階に分けられています。
- 小学校第1学年及び第2学年
- 小学校第3学年及び第4学年
- 小学校第5学年及び第6学年
- 中学校
知的障害がある児童生徒を対象として道徳の授業を考える場合には、生活年齢が同じであったとしても知的発達の状況が異なるため、扱う内容項目の分類は同様であっても、指導の要点が異なることが想定されます。
指導の要点を焦点化する際の参考情報として
知的発達の状況が多様な児童生徒について、道徳の内容項目ごとに学年段階をチェックすることで、それぞれの児童生徒の個別の目標(指導の要点)が整理されるのではないかと考えました。
そこで、作成してみたツールが「【道徳】学習指導要領の内容項目チェックツール」です。

開いていただくとおわかりいただけると思いますが、「特別の教科 道徳」の学習指導要領内に示されている内容項目の表をエクセルシートにまとめたものです。
チェックツールの便利なところ【指導の要点の解説を表示】
このチェックツールの便利な点は、チェックするセルを選択すると、下の画像のように、学習指導要領の解説に記載されている指導の要点を要約した文章が表示されるところです。

学習指導要領の解説ページを探したり、あっちを開いたりこっちを開いたりすることなく、このツール上で大まかな要点をおさえてチェックができるところが便利です。
発達段階が様々な児童生徒、個々の指導の要点を明確化!
特別支援学校では、複数の先生がチームティーチングで授業を実施されると思います。
サブティーチャーの先生は個々の児童生徒の目標、指導の要点をおさえながら学習を支援していくことが大切です。
- 授業で扱う内容項目は?
- 指導・支援する児童生徒に適した学年段階は?
- 授業の中で確実におさえたい指導の要点は?
チェックを付けていくと以下のような状態になります。扱う内容項目によって学年段階が異なっている可能性がありますので、確認した上で授業に入ると指導・支援が焦点化されます。


チェックツールが、個々の児童生徒における指導の要点を整理、道徳の授業づくり、サブティーチャーとしての指導・支援に役立ちましたら幸いです💡
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