NHKスペシャル「いのちを守る学校に(2023/5/7放送)」を見ました
こんにちは、もと教師(定年退職)のざいちゃんです。先日NHKスペシャルで「いのちを守る学校に」が放送されました。学校管理下の行事で起きた重大事故を、日本スポーツ振興センターのデータベースをもとに分析し、どうして似たような事故が繰り返されるのか、どうしたら未然に防ぐことができるのか、について番組は構成されていました。下記のリンクは、5分間ダイジェストとまとめ記事です。ぜひご覧ください。
https://datazoo.jp/tv/NHKスペシャル/1639037 「TVでた蔵」さんのサイトです。よくまとめられています
- 番組の要約(上記のまとめ記事を見た方は、とばしてください)
・16年前に学校の部活動中に熱中症となり、女の子が重い障害を負った。
・2005年以降、死亡した子供が1614人、障害を負った子供が7115人、合計8729人(日本スポーツ振興センターによる)。
分析結果より
・給食での窒息死、窓からの転落など、同じ事故が繰り返されている。教訓が活かされていない。
・事故の多くは授業・休憩時間、及び部活動で発生している。
・給食中の窒息による突然死が多い。うずら卵、ミニトマト、ブドウ、白玉団子などを詰まらせた。7人が死亡(幼保を含む)。
・ゴールポストにぶら下がったら倒れ、下敷きになった。2人が死亡。
・新しい事故はない、どこかで起きた事故の繰り返し
・中高での体育の時間における心臓系突然死
・中学3年生が体力テストのシャトルラン中に倒れた。
・突然死は506件、特に5月に多い。「持久走」「5月」。
・5月は気温が高くなり、熱中症的要素が加わる。
・中3や高1は成長真っ只中、自律神経の調整が難しい。
・持久走で無くなった3割が、走った後や休憩中に倒れていた。
・窓からの転落によって30人が死亡、44人が障害を負った。
・窓付近に置かれた本棚やロッカー等を足場にし、窓やてすりに寄りかかり、転落した事例が多い
これらは日本各地のどこかで繰り返し起きている「コピペ事故」である。
教育現場の現状
・子供は大人を小さくした者ではない。
・学校の安全管理が教職員に委ねられている。
・専門的知識も必要だが、忙しい教職員だけの対応に限界がある。
・自治体を越えた情報共有や対策共有が難しい
・教訓が広がらず、同じ様な事故が他地域で起きている。
・学校運営や安全対策は自治体の責任、国は直接指示等を出せない
・運動会(練習を含む)で84人が死亡、351人が障害を負った。
・むかで競争の練習中に転倒し、後続する生徒が止まれずに次々を頸部を圧迫した。
・運動会には共通基準が無い。学校や地域毎に独自のやり方で行われてきた。
・学校から1km離れたテニスコートを利用、最後の練習としてのランニング中に倒れた。
・部員が手分けして助けを求め、市役所職員が119番通報及び学校へ連絡した。救急搬送時は心停止状態だった。奇跡的に一命を取り留めた。
・30度を超える炎天下で事故が起きた。
・定期テスト明けの初練習、顧問は最初30分だけ立ち会って離れた。
・兵庫県に対して損害賠償を求め、最終的に2.3億円の賠償が認められた。
・部活動中の死亡事故196件の内、突然死が133件、頭部外傷が40件、熱中症が23件を占めている。
・学校や自治体による詳細調査義務はない。文部科学省のページ(学校管理下における重大事故事例)で公表されているのは13件。
アメリカにみる危機管理(データベースを活用して大きなエリアで予防策に取り組んでいる)
・アメリカはデータを集約し、調査分析を行っている。
・アメフト練習で死亡した選手の内、半数が練習開始初日及び2日目だった。このデータから、開始日から数日間は練習時間を短めるなどの対策を行なった。
・アイスバスを準備している。熱中症はすぐに冷やせば救命できる。
日本の対策事例
・データを集めて分析し、ツール作りに活かせれば学校事故は減らせる。
・大阪教育大学附属池田中学校では、生徒自らが校内の危険箇所を調べ、ピクトグラムで警告を発している。
・都立上野高校では脳しんとうに対する勉強会を実施した。
以上よどきかくさんのブログから引用させていただきました
とても参考になる番組でした。ざいちゃんは、前任校では学校安全の担当でした。学校組織として重大事故を未然に防ぐにはどうしたらいいのか悩むことがありました。
日本スポーツ振興センターのデータベースって知っていますか?
番組では日本スポーツ振興センターのデータベースのことを紹介されていましたが、ざいちゃんも職員研修で数回使いました。データベースは、エクセルファイルを自由にダウンロードして使うようになっていて、事故の分析は、自分でフィルターを使って校種別、事故種別など、絞り込んで使うようになっています。担当者としては便利ですが•••
困った点
🔺データを自由にダウンロードできるが、日本スポーツ振興センターのホームページのどこにデータベースがあるのか分かりにくい。
🔺データはエクセルファイルで作られています。幼稚園、小学校、中学校、高等学校、特別支援(小、中、高)全てのデータが掲載されていて、フィルターで絞り込んでいかないと情報にたどり着けない。(エクセルの使い方がわからないと、調べにくい)
🔺誰かが調べて研修とかで周知すると助かる(係でない限り自分から調べようとはしないでしょうね)
キャリンでーす。ざいちゃん!
日本スポーツ振興センターのデータベースを職員研修で使いたいんですが、特別支援学校の部分だけを使いたいの。私苦手だし、すぐに使えるように編集して公開してくださーい。
はいよー つくりましたー
平成17年から令和3年までの記録です。フィルターで「死亡障害種(突然死、手指切断など)」とか「場合別(昼休み、教科など)」絞り込んで状況を把握することができます。エクセルのフィルターの使い方は、知っている人から聞いてねー
ありがとうございました。研修で使わせてもらいまーす。ところで、ざいちゃん。番組でも言ってたけど、学校独自でデータベースを作ることができたら、現状が「見える化」できて事故を未然に防ぐことにつながると思いませんか?
番組でもデータを集めて分析し、ツール作りに活かせれば学校事故は減らせるって言ってましたが、私もそう思います。
自校でデータを集めて分析する(ヒヤリハット報告のデータベース化)
データベースって、エクセルしか思い浮かばないけど、
そうねー、エクセルもデータベースなんですが、計算や統計では強みがありますが、みんなでデータを書き込んだり、絞り込んだデータを見やすくカード形式で表示させたりすることは苦手です。エクセルに似たものとしてグーグルのスプレッドシートがあります。これは、インターネット上で共同作業ができます。ただ、エクセルと同じ表形式なので、データが大量になれば、同様のデメリットがあります。
データベース専門のソフトとしては、AccessやFileメーカーなんかが有名です。表形式(エクセルと同じ)でも、カード形式(フォームとかレコードとかいいます)でも表示できます。また、共同作業をすることに特化していますので100人程度の職場であれば、校内ネットワーク内で無理なく使えるかと思います。インターネット上でも共同作業はできますが、機能が制限されます。
kintoneとか有料のもありますが学校で導入しているところは聞いたことがありません。
下表はざいちゃんの独断と偏見で評価したものです。共同作業のしやすさ、導入時のコストなど考えれば、officeがあってネットワーク環境が整備されていたらアクセスを活用したほうがいいように思います。
データベース種 | 使い勝手(データベースとして) | 職場内での共同作業 | インターネット上での共同作業 | 導入時のコスト |
エクセル | △ | ×に近い△ | ✖︎ | officeなので職場にすでに導入されていれば◎ |
アクセス | ◎ | ◎ | 〇 | officeなので職場にすでに導入されていれば◎ |
ファイルメーカー | ◎ | ◎ | 〇 | ✖高い |
グーグルスプレッドシート | △ | 〇 | 〇 | Googleworkspaceなので職場にすでに導入されていれば◎ |
キントーンなど会社が販売しているもの | ◎ | ◎ | ◎ | ✖高い |
うちの学校のパソコンには、ワードやエクセル入っているから多分アクセスも入っているわね。
でも、アクセスで作られたデータベースって見たことも聞いたこともないですー。
ワード、エクセル、パワーポイントはよく使うけど、アクセスが使える職員ってあまりいませんね。でも、前述したヒヤリハットや指導案、生徒情報、教材教具などのデータベースがあれば学校のデジタルトランスフォーメーション(DX)が図れますね。
ざいちゃんは、データベース作ったことあるの?
ありますよ、独学だけど。伊達に歳は食っていませんよ、ほっほー
保健体育部、安全部や情報部など退職するまでに部長を経験しましたので、その分掌部に応じたデータベース作ってきました。今回は、私が作ったヒヤリハット報告のデータベースについて説明して、ファイルを公開しまーす。よかったら使ってくださーい。
それを早く言わんかーい
では、よろしくお願いしまーす
ざいちゃんがつくったヒヤリハット報告データベースの紹介
アクセスでヒヤリハット報告データベースを作りました。アクセスで作った理由は、ソフトがすでに職員のパソコンに入っていたこと(新たにソフトを買い足す必要が無い。オフィスなので、ワード、エクセルが入っていれば大体あります)、共同作業ができること、カード形式で表示できるので印刷しやすい、検索機能が強力、データを分析できるなど、条件がそろっていたからです。14年ほど前に作りましたが、今回ファイルを公開するに当たり、絞り込み検索機能をさらに加えました。
現在、前任校では14年間全職員で使い続けましたので、データは900件近くになりました。分析結果を元に職員研修を行なったり、児童生徒に対する「目くばり」「気くばり」「心くばり」、つまり危険予知能力を高めるためのツールとして現在も使われています。以下は、操作画面になります。
上の図は、ファイル起動時の画面です。「通常の報告」「事故報告様式」「絞り込み検索」と3つに分けて構成しました。
「通常の報告」画面です。
左下部が入力シートで、発生日時、発生時間、対象者と入力していき、対象学部からは項目がプルダウンで選べるようにしています。入力になるべく時間をかけずにできるように考えました。
左上部は、絞り込み検索です。調べたい項目をプルダウンで選び絞り込んでいきます。アクセスのVBAでワイルドカード(あいまい検索)構文を使っています。
右が一覧表となっています。絞り込み機能を使ったら表が自動的に絞り込まれ、視覚的に分かりやすいです。
「事故報告形式」の画面です。実際に怪我等が起こってしまった時に、事故報告が必要な時に使用します。通常の報告に入力していれば、同じ内容の事柄は同様に表示されますので、報告の必要が生じた場合にこの起案形式で印刷できます。印刷時には、ボタンは表示されません(右図)。新たに書類を作成する必要がないので便利だと思います。
「絞り込み検索表」の画面です。通常の報告画面からも絞り込み検索できますが、大量のデータを処理するときに使います。エクセルファイル形式で書き出しができますので、分析に適しています。
動画も配信しています。画像よりも動画が動きがあってわかりやすいと思いますので、データベースに興味がある方は、こちらもご覧ください。8分過ぎからデータベースの説明が始まります。
他にもDX関係の動画配信しています。「ざいちゃんねる」参考にしていただいたら幸いです。
チャンネル登録よろしくお願いします。
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