特別支援学校高等部の生徒が目指す進路の一つに、就労があります。就職に向けて、現場で必要とされる技能を身につけるために、様々な資格取得を目指す生徒もいます。
その中の一つに、特別支援学校技能検定があります。特別支援学校技能検定とは、知的障害のある生徒が、卒業後の就労や自立に向けて、必要な知識や技能を身につけたことを証明する検定です。
この検定には、清掃作業や事務作業、食品加工など、様々な種目があります。
今回紹介するのは、その中でも「清掃作業」の検定に向けて作成した、 片手で雑巾が絞れるバケツ です。
肢体不自由のある生徒への合理的配慮
検定の受検を希望する生徒の中には、肢体不自由があり、片手しか使えない生徒もいます。検定の規定通りに両手を使う雑巾の絞り方では対応できない、時間制限内に作業を終えることが困難であることが想像され、受検にエントリーできるとすら思われていないようでした。
そこで、片手でも雑巾を絞れるように、専用の道具を作成することにしました。
バケツの作り方と使い方
このバケツは、ホームセンターで手に入る材料を使って、簡単に作ることができます。
【材料】
- バケツ
- フレキシブルアーム
- クランプ
【作り方】
- フレキシブルアームを、クランプでバケツの縁に固定します。
- フレキシブルアームの先端に、もう一つのクランプを取り付けます。
【使い方】
- バケツに水を入れ、雑巾を濡らします。
- 濡らした雑巾を、フレキシブルアームにかけます。
- 雑巾を片手て握って、強くひねることで雑巾を片手で絞ることができます。
合理的配慮と自立に向けて
このバケツを使うことで、片麻痺がある生徒でも、雑巾を絞ることができるようになりました。
合理的配慮とは、障害のある人が、障害のない人と同じように、活動に参加できるようにするための調整や変更のことを指します。
今回紹介したバケツは、まさに合理的配慮の一例であり、生徒が自立して就労を目指すために、大きな助けとなっています。
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