生成AI機能を学校業務で活用する その5
きゃりんでーす。
前回は、本吉研究室で考案した自立活動指導計画作成支援ツール「あいちゃん」の、紹介をしてもらいました。
チェックリストには、生成AIを使って素案を作成とありましたが、どうやって素案を作成したか教えてください。また、ツールで動いているからくりについても教えてくださいーい。
ざいちゃんです。
自立活動指導計画作成支援ツール「あいちゃん」は、エクセルとスプレッドシートで作成しました。作成方法は、若干違いがありましたが、概ね同じ構造でつくることができました。今回は、ツール内部のかくされた構造や関数、マクロ、生成AIへの聞き方(プロンプト)について説明しまーす。
チェックリストのデータベース作成について(構造)
前回の記事でも説明しましたが、あいちゃんは、4つのシートから構成されています。
2の自立活動6区分27項目のチェックリストシート内に、生成AIが特別支援学校学習指導要領解説自立活動編を基に作成したデータを埋め込んでいます。シート内の隠されたセルを開くとデータを見ることができます(以後はAI素案表と呼びます)。そのデータが、表シートのそれぞれの項目にプルダウンして表示されるようにしています。
また、普通プルダウンは、選ぶだけで修正することはできませんが、以下の方法を使うことで修正および加筆できるようにしています。
チェックリスト項目(AI素案表)の作成について
チェックリストシート内にあるAI素案表の作成については、生成AIのCopilotを活用しました。以下のプロンプトを使い項目を作成しました。
- Q特別支援学校教育要領・学習指導要領解説自立活動編の区分、「健康の保持」にある、項目の「生活のリズムや生活習慣の形成に関すること・・・生活のリズム、生活習慣の形成、健康な生活環境の形成」に関して、指導目標を達成するために必要な目標を、簡潔な文章で具体例を挙げながら10項目あげてください。
- A
この質問には、一様な答えがあるわけではありませんが、以下のような目標が考えられます。
- 自分の生活のリズムや生活習慣を把握し、記録すること。**例:**自分の起床時間や就寝時間、食事時間や食事内容、排泄時間や排泄量、運動時間や運動内容などを日記やチャートに書くこと。
- 自分の健康状態や心身の変化を認識し、評価すること。**例:**自分がどのような状況で疲れたり、眠かったり、空腹感や喉の渇きを感じたり、体温や血圧が変化したりするかを言葉や絵で表現すること。
- 自分の健康状態や心身の変化に対応し、改善すること。**例:**自分に合った休息法や睡眠法、食事法や水分補給法、運動法やストレッチ法などを学び、実践すること。
- 自分の生活環境を整え、維持すること。**例:**自分にとって快適な温度や湿度、明るさや音量などの環境条件を調整し、自分にとって清潔で整頓された部屋や机などの環境物を整えること。
- 自分の生活のリズムや生活習慣に関する知識や情報を得ること。**例:**自分の生活のリズムや生活習慣の影響や意義、健康への効果やリスクなどについて本やウェブサイトなどを読んだり、調べたりすること。
- 自分の生活のリズムや生活習慣に関する自己肯定感や自信を高めること。**例:**自分の生活のリズムや生活習慣の長所や強みを認識し、評価すること。
- 自分の生活のリズムや生活習慣に関するコミュニケーションや協働を促進すること。**例:**自分の生活のリズムや生活習慣に関する意思や感情を伝えたり、他者の意思や感情を理解したり、協力したり、助け合ったりすること。
- 自分の生活のリズムや生活習慣に関する自己管理や自己調整の能力を向上させること。**例:**自分の生活のリズムや生活習慣に応じた目標や計画を立てたり、実行したり、評価したり、改善したりすること。
- 自分の生活のリズムや生活習慣に関する創造性や発想力を発揮すること。**例:**自分の生活のリズムや生活習慣を生かした作品や活動を考えたり、作ったり、発表したりすること。
- 個々の児童や生徒の実態やニーズに応じて、柔軟に対応すること。**例:**自分の生活のリズムや生活習慣に合わない環境や要求に遭遇したとき、適切な対処法や支援を求めたり、提供したりすること。
上記プロンプトの「目標」という部分を「課題」に変えて聞いてみます。
- Q特別支援学校教育要領学習指導要領解説自立活動編の区分、「健康の保持」にある、項目の「生活のリズムや生活習慣の形成に関すること・・・生活のリズム、生活習慣の形成、健康な生活環境の形成」に関して、指導目標を達成するために必要な課題を、簡潔な文章で具体例を挙げながら10項目あげてください。
- A
この質問には、一様な答えがあるわけではありませんが、以下のような目標が考えられます。
- 生活のリズムや生活習慣の形成に関する指導目標は、自分の生活のリズムや生活習慣を理解し、それに応じた健康な生活環境を形成することです1。
- そのためには、以下のような課題を解決することが必要です。
- 自分の生活のリズムや生活習慣が不規則である場合、それを改善する方法を見つけること。**例:**自分の起床時間や就寝時間を決めて、それに従うようにすること。
- 自分の健康状態や心身の変化が悪化している場合、それを改善する方法を見つけること。**例:**自分が疲れたり、眠かったり、空腹感や喉の渇きを感じたりしたとき、適切な休息や睡眠、食事や水分補給をすること。
- 自分の生活環境が不快である場合、それを改善する方法を見つけること。**例:**自分にとって快適な温度や湿度、明るさや音量などの環境条件を調整し、自分にとって清潔で整頓された部屋や机などの環境物を整えること。
- 自分の生活のリズムや生活習慣に関する知識や情報が不足している場合、それを補う方法を見つけること。**例:**自分の生活のリズムや生活習慣の影響や意義、健康への効果やリスクなどについて本やウェブサイトなどを読んだり、調べたりすること。
- 自分の生活のリズムや生活習慣に関する自己肯定感や自信が低い場合、それを高める方法を見つけること。**例:**自分の生活のリズムや生活習慣の長所や強みを認識し、評価すること。
- 自分の生活のリズムや生活習慣に関するコミュニケーションや協働が不足している場合、それを促進する方法を見つけること。**例:**自分の生活のリズムや生活習慣に関する意思や感情を伝えたり、他者の意思や感情を理解したり、協力したり、助け合ったりすること。
- 自分の生活のリズムや生活習慣に関する自己管理や自己調整の能力が不足している場合、それを向上させる方法を見つけること。**例:**自分の生活のリズムや生活習慣に応じた目標や計画を立てたり、実行したり、評価したり、改善したりすること。
- 自分の生活のリズムや生活習慣に関する創造性や発想力が不足している場合、それを発揮する方法を見つけること。**例:**自分の生活のリズムや生活習慣を生かした作品や活動を考えたり、作ったり、発表したりすること。
- 個々の児童や生徒の実態やニーズに応じて、柔軟に対応する方法を見つけること。**例:**自分の生活のリズムや生活習慣に合わない環境や要求に遭遇したとき、適切な対処法や支援を求めたり、提供したりすること。
さらに、文章をシンプルにしていきます。
- Qもっと短い文章で表してください。例えば、規則正しい就寝や起床時間を守ることができる。など。
- A
すみませんが、私はあなたの質問に対して、できるだけ詳しく説明しようとしました。もっと短い文章を求めるのであれば、以下のような目標が考えられます。
- 起床時間や就寝時間を決めて守る
- 疲れや眠気、空腹感や喉の渇きを感じたときに休息や睡眠、食事や水分補給をする
- 快適な温度や湿度、明るさや音量などの環境条件を調整し、清潔で整頓された部屋や机を整える
- 生活のリズムや生活習慣の影響や意義、健康への効果やリスクなどについて学ぶ
- 生活のリズムや生活習慣の長所や強みを認識し、評価する
- 生活のリズムや生活習慣に関する意思や感情を伝えたり、他者の意思や感情を理解したり、協力したり、助け合ったりする
- 生活のリズムや生活習慣に応じた目標や計画を立てたり、実行したり、評価したり、改善したりする
- 生活のリズムや生活習慣を生かした作品や活動を考えたり、作ったり、発表したりする
- 個々の児童や生徒の実態やニーズに応じて、柔軟に対応する
- 生活のリズムや生活習慣に関する専門家や支援者との連携や協力を行う
これらの目標は、生活のリズムや生活習慣の形成に関する指導目標を達成するために必要なものの一例です。より具体的な内容や方法は、参考文献をご覧ください。
以上のようにプロンプトを変えながらCopilotに尋ねていき、生成されたデータをチェックしながら、AI素案表に張り付けていきました。今回は、障害種を特定せずに聞いてみましたので、広意義的な返答となっています。聞き方を変えていくことで、それぞれの障害の特性に対応した素案が出てくると思います。
もうみなさんお分かりかと思いますが、AI素案表のデータを書き換えるだけで、プルダウンの項目が書き換えられるので、それぞれのニーズに応じた「あいちゃん」を、自分たちで作成することができます。
チェックリストシートの必要度Aを指導すべき課題の整理シートへ抽出する方法
チェックリストシートで、対象児童生徒に関連する項目について、必要度をa,b,cと分類しながらチェックしていきます。必要度が最も高い項目の「a」については、優先すべき課題の整理シートへ、文章が添付される仕組みになっています。この時にはIF関数を使っています。
指導すべき課題の整理シートから最重要度の項目を、指導計画シートへ抽出する方法
6区分それぞれのチェックリストシートから、項目ごとに優先すべき課題aが課題の整理シートに集まりました。この後は、さらに指導計画に入れたい最重要度の項目について、教師グループで検討し、☑を入れます。この作業はとても重要だと思います。保護者や児童生徒のニーズに応じて総合的に勘案していくことが大切です。また、この優先すべき課題シートは、どんな課題がどの区分にあるのか示してくれますので、各校の実態に応じてアセスメントなどに活用することもできるかと思います。
まとめ
いかがでしたか、以上のような構造で、区分項目が絞り込まれ、指導計画に至る流れになっています。ここで使ったカラクリは他の作業でも使うことができると思いますので、参考にしていただけたらと思います。
あいちゃんを作成することで、以下のようなことが見えてきました。
いじょう、ざいちゃんでした!
次回も、お楽しみに!
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